平成20年5月21日(水) ふべっく研修会 ご報告

 『なぜ私が起業したか
   〜愛と夢のトライアングルを目指して』


講師:池内 比呂子 氏
(株式会社 テノ.コーポレーション代表取締役)


「2008年第3回ふべっく研修会」は5月21日、株式会社テノ.コーポレーション代表取締役・池内比呂子氏をお招きし、『なぜ私が起業したか〜愛と夢のトライアングルを目指して』と題してお話しいただきました。前回に続いて女性起業家ですが、また興味深い話をお聞きできました。以下、講演の要旨をご紹介します。

■テノ.コーポレーションとは

   当社は「企業の育児生活支援コンサルティング」と「総合家庭支援事業のコンサルティング」企業です。主な事業は、企業や病院などの福利厚生の一環である保育施設を委託されて運営する、いわば保育士、幼稚園教諭など“福祉の派遣会社”。現在、9割が法人客で、福岡、北九州、沖縄に計25カ所の保育施設を運営、うち2カ所が直営です。
   創業は99年7月。ベビーシッター、ハウスサービス、介護サービスなどのベンチャーとして独りで始めました。創業1カ月目の売上は4万8,000円でしたが、毎年130%増で、9年間で年商5億円の企業に成長しました。

■起業資金1,000万円を稼ぐために

会場の様子   私は短大卒業後、外資系企業に入社。結婚して数年後、
10年間勤務したその会社を退職しました。2年間の専業主
婦の後、友人と2人で弁当屋を始めたのです。外商向きな
私は商事会社などにも営業。参入困難な所でも、数量限定
で弁当を置いてもらえるようにもなりました。
 しかしプロの料理人ではないため味に自信が持てない。
そこで1年間で1,000万円稼ぎ、それを元手に新事業を始め
ようと思ったのです。ちょうど福岡市内で大規模公共工事
が始まり、その現場で弁当を売ることに成功しました。初め
は500円カレーだけで、その後、簡単なメニューを追加。
ついに目標金額を達成させました。
   起業で考えたのは「楽しい会社をつくりたい」ということ。また 99年は介護保険制度開始の年で、「少子高齢化」が鍵だと思いました。介護事業はすでに大手企業が参入していましたが、育児関連は参入企業が少なく、業界大手でも年商1億程度。そこでイニシャル&ランニングコストが少ない、登録スタッフを派遣するベビーシッタービジネスを目指しました。

■営業先で見つけた事業発展のヒント

ベビーシッター業の営業で幼稚園を訪問したところ、園自体が預り保育の時間帯に人手不足だと判明。そこにヒントを得て幼稚園などへの人材派遣を開始。今や当社は福岡市私立幼稚園連盟、北九州市私立幼稚園連盟の指定業者です。
そんな中で育児生活支援コンサル分野にも事業を拡大。育児関連マーケティングや企業の育児支援体制整備、研修なども行うようになりました。
 当社では独自に保育士やベビーシッター等の養成講座を開講しています。育児支援業は信頼と質、親や子とのコミュニケーション能力が第一。当社に登録できるのは、保育士・幼稚園教諭の有資格者か当社の講座卒業生に限定し、少し高い授業料を納めてでも受講できる人を対象にしています。

■社会問題解決をビジネスチャンスに

 近年、認可外保育所でのトラブルがありますが、原因の一つが資金力不足。親は自宅以下の環境には預けたくないものです。また事業所内保育所が難しい企業もあります。そこで当社では西鉄さんと契約し、沿線に5つの保育所を設立しました。私は自社の強み・弱みを明確化することが大切だと考えており、当社にはない西鉄のブランド力と資金力、そして当社ならではの育児支援ノウハウを連携させたのです。
 かつては富裕層が顧客だった育児支援ですが、今や一般の会社員が利用しています。行政や企業も少子化対策として育児支援補助金を出してくれるようになりつつあります。
 将来、少子化による人口減少で経済活動の停滞が懸念されていますが、女性のライフステージを支援することこそが、社会や企業の成長につながると考えております。当社が頑張るほど、女性が働きやすい社会になると思います。

■理念や夢、会社像を社員に語る大切さ

 実は私は一緒に弁当屋を始めた友人と仲違いしました。思えば、彼女
に私の夢や将来像を話していませんでした。今、スタッフに夢や理念を
語り
「このビジネスは社会貢献だ」と伝えています。併せて当社の理念
や会社像をスタッフに周知徹底
させています。
   会社像の中に「クレームで大きく伸びる会社に」「チャンスはピンチ、ピ
ンチはチャンス」という項目があります。できる限りいただいたチャンスは
モノにし、新事業でのピンチは必ずクリアしていく。
沖縄支店の設立も、
ある大手企業から「3カ月以内に事業所内保育所を」という依頼が発端
でした。その難題をクリアできたからこそ、沖縄での保育事業が拡大した
のです。

■仕事と家庭のバランスが取れてこそ企業は成長

 会社は人材第一、従業員の志気を高めることが大切です。当社は福岡県の社会貢献優良企業第1号に認定されましたが、企業の福利厚生を扱う以上、自社がモデルにならざるをえません。当社は正社員12人のうち11人が女性。私自身、社員教育は難しいと思います。男女共同参画社会とはいえ、なかなか女性を育成していないし、女性もまだモチベーションが低いと思います。
 近年、企業の社会的責任(CSR)が注目されていますが、男性も女性も仕事と家庭、ワークライフバランスが取れてこそ、企業の生産性が向上するのです。私的な問題を抱えると良い仕事はできません。誰でもみな悩みがありますが、それを解決し、家庭や職場の環境が改善し、幸せになることが生産性の向上につながるのです。

●講師略歴/池内 比呂子(いけうち ひろこ)
(株)テノ.コーポレーション代表取締役社長。1959年長崎県大村市出身。短大卒業後、外資系企業に勤務。85年に結婚、89年退職。「自分の会社を持ちたい」と経営・経済を勉強、99年「女性のライフステージを応援」をコンセプトに家庭総合サービス会社を設立。現在、特定非営利活動法人育児・生活支援福岡理事長、(社)九州経済連合会九州女性の会副会長、 (社)九州ニュービジネス協議会ウーマンズフォーラム世話人、(社)福岡県中小企業経営者協会理事、福岡ビジネス協議会世話人などを歴任。
●(株)テノ.コーポレーション
本社:福岡市博多区中呉服町呉服町1−23
    博多インテリジェントビル4階
TEL:(092)263-8040  FAX (092)263-8335
支店:北九州支店、沖縄支店
URL:http://www.teno.co.jp